ヘリコイドがまったく動かないPAX M2のレストアです。 軍艦部を外してみました。シンプルな距離計ですが、二重像調整方法が個性的です。 このスプリングで固定されたレンズの角度を、小さなネジ２本で調整する方法です。

すべての部品を取り外し、きれいにクリーニングしました。

さて、ヘリコイドにかかりたいのですが、どうやって鏡胴を外したらよいか悩みました。 写真の左右にあるネジを外すとカバーが外れ、その奥に鏡胴を固定しているネジを発見しました。

このネジが完全に固着していて回転しません。オイルなど注すなどして何度か試しましたが だめでした。仕方なくドリルでネジを削ってなんとか鏡胴を本体から分離することができました。 （同じピッチのネジが手元にあったため、組み立てには問題ありませんでした。）

外れた鏡胴です。写真からわかるとおり、このグリスの固着状態は並大抵のものではありません。 ベンジンやパーツクリーナーを注して、プライヤーで回してもびくともしません。

最終手段。レンズを外してアセトンに一晩漬け置きです。古いグリスが下に沈殿し、翌朝にはヘリコイドが回転するようになりました。 これを数回繰り返し、新しいグリスを少し塗って完成です。シャッターや絞りも正常です。

巻き上げ動作をすると下のカムが平行移動し、連動したギアでシャッターがチャージされる。 鏡胴と本体を組み合わせる時、このようなギアとカムの組み合わせは、調整が大変になるものです。 幸いにも、問題なく動作しました。

全体をクリーニングして、きれいになったM2です。 PAXのグリス固着は、よくある症状ですが、なんとかレストアできました。